Magic Nipple とは?
Magic Nipple(魔法のニップル)とは、0.2% BeCu の優れた熱特性により、アウトガスを抑制し極高真空環境を容易に造る、他にはない卓越した製品です。ヌードBAゲージまたはEXゲージのヘッドを本品に入れて、チャンバに取り付けるだけで、さまざまな特性が得られます。
Magic Nipple の特性
- 真空計のガス放出が1/7に減る
- 到達真空が1桁程度良くなる
- 消費電力が1/2以下に減る
- 0.2% BeCu 合金製(AlCuも有)
- 銅表面は不動態化処理
- 300℃までのベーキング可能
- 銅ガスケットが使える
Magic Nipple とステンレス製のニップルでのガス放出速度の違い
ガス放出速度 | Magic Nipple | ステンレス製の ニップル |
BAゲージ(1/4) | 2.1⁻¹¹Pa・m³/s | 8.9⁻¹¹Pa・m³/s |
EXゲージ(1/7) | 5.6⁻¹²Pa・m³/s | 3.9⁻¹¹Pa・m³/s |
なぜ 0.2% BeCu 合金を使用するのか?
金、銀、銅、アルミニウムの4つの金属は、輻射率(吸収率)が3%以下と非常に小さいですが、一方で、熱伝導は13倍~25倍までと大きいのが特徴です。この性質を利用することで、熱陰極ゲージからのガス放出を下げられる可能性があります。しかし、金や銀でゲージポートを作るわけにはいきません。アルミニウムはやわらかすぎますし、熱膨張係数が合いません。その点、銅が最も有力ですが、ガスケットに使うくらいですから、柔らかいのが欠点です。つまり、こうした金属も、ゲージポートとして採用するには、実用面でそれぞれデメリットがあるのです。
これを解決したのが、弊社で開発した0.2% BeCu 合金極高真空構造材です。この合金は、特殊表面不動態化処理を施すことにより、実用材料としては最も低いガス放出率を持たせることができ、熱伝導率は純アルミニウムとほぼ同等でありながら、硬度はステンレス鋼より固く、熱膨張係数は銅とステンレスに一致しています。
一般的なコンフラットシール用の銅のガスケットを用いて、既存のステンレスコンポーネントと、高温のベーキングに耐えうる信頼性の高い真空シールが可能です。従って、0.2% BeCu 合金を用いてゲージポートを製作すれば、Magic Nipple との組み合わせひとつで、ガス放出を大きく下げることが可能になるのです。
熱陰極ゲージを使うときの悩みを解消できる
BAゲージなどの熱陰極ゲージは、超高真空、極高真空環境で、しばしば大きなガス源になります。
ゲージ点灯中に、ゲージポート付近に触ってみると、かなり温かくなっているはずです。中は相当高温です。「真空を下げるために、熱陰極電離真空計を切ってしまいたい」と、誰もが一度は考えるでしょう。しかし真空計が無ければ、中の真空はわかりません。どうしようもないと、諦めることも多いはずです。
そんな時、Magic Nipple をお試しください。現在お使いのBAGやEXGをMagic Nipple に差し込んでから、ステンレスのゲージポートに付けると「あら不思議」。真空計には何もしていないのに、真空計からのガス放出が魔法のように下がります。このからくりは、ステンレス(チタンも同様)と、東京電子の0.2% BeCu 合金の、輻射率と熱伝導性の大きな違い(全く正反対)にあります。
詳しい原理の違いが知りたい方は、下記の記事もご覧ください。